群馬県の世界遺産|富岡製糸場と絹産業遺産群は何がすごいの?
2014年、群馬県富岡市にある富岡製糸場がユネスコ世界文化遺産に登録されたことは記憶に新しいですよね。
でも、まだ行ったことがない‥という方や、世界遺産になった理由は?何がすごいの?渋沢栄一との関係は?という方もいるのではないでしょうか?
今回は、世界遺産・富岡製糸場と絹産業遺産群について詳しくご紹介します。それでは世界遺産めぐりの旅を楽しみましょう!
群馬が世界に誇る遺産や遺跡
実は、歴史的価値の高い観光名所がたくさんある群馬県。
世界遺産となった富岡製糸場をはじめ、桐生明治館や旧丸山変電所といった近代産業の発展を象徴する建造物が各地に存在します。
また、群馬は古墳が非常に多いことでも有名。
日本で初めて旧石器時代の石器が見つかった岩宿遺跡(いわじゅくいせき)や、3つの前方後円墳が集まった保渡田古墳群(ほどたこふんぐん)など、ロマンあふれる古代遺跡の宝庫です。
ぐんまワンデーパスでお得に周ろう
©https://www.jreast.co.jp/
富岡製糸場におでかけするなら、ぜひおすすめしたいのがぐんまワンデーパス。
JR東日本が発売している鉄道フリーパスで、こちらを利用すると群馬県内の多くのJR・私鉄各線が乗り降り自由となります。
富岡製糸場の最寄り駅・上州富岡駅はもちろん、草津や伊香保といった温泉街へのアクセスも抜群。
2019年発売時にはぐんまワンデー世界遺産パスと言われ、2022年からは、フリーエリアが軽井沢にまで拡大。さらに購入特典として駅レンタカーの割引もあるので、群馬観光の際は要チェック!
富岡製糸場【富岡市富岡】
まずご紹介するのは富岡製糸場。明治時代に官営の模範工場として建設された施設。
設置主任のひとりとして任命されたのは、大河ドラマの題材にもなった渋沢栄一。当時は世界最大規模の器械製糸工場でした。
世界遺産に選ばれた理由は、絹産業の発展に大きく貢献したこと。養蚕や高品質な生糸生産の革新的技術は広く海外に伝わり、絹織物の大衆化やファッションにも影響を与えました。
見どころは、ほぼ当時のままの姿で残っている歴史的価値の高い建物の数々。繭から糸を取る繰糸所や繭を貯蔵する置繭所、指導者・技術者の住居など、場内のほとんどの場所が見学可能。資料や絹織物の展示もされています。
定休日:年末(12月29日~31日)
料金:大人1,000円/高校・大学生250円/小・中学生150円
住所:群馬県富岡市富岡1
電話:0274-67-0075(場内総合案内所)
駐車場:なし
※近隣の市営駐車場やコインパーキングをご利用ください
アクセス:
車 上信越自動車道 富岡ICより各駐車場まで約10分、駐車場より徒歩約10分
電車 上信電鉄 上州富岡駅よりタクシー約3分
公式Instagram:https://www.instagram.com/my.tomioka/
絹産業遺産群
世界遺産なのは富岡製糸場だけではありません。絹産業の発展に寄与した関連施設も一緒に登録されているのです。
ここからは、富岡製糸場とあわせて知っておきたい絹産業遺産群についてご紹介。
高山社跡【藤岡市高山】
©https://goo.gl/maps/JR1BRsjTCM691VCX8
世界遺産の構成資産のひとつ、藤岡市にある高山社跡(たかやましゃあと)。養蚕法の研究、改良や指導をおこなう組織・養蚕改良高山社の創始者である高山長五郎の生家です。
高山長五郎は蚕の飼育法として、温度管理と通風を組み合わせた清温育(せいおんいく)を確立。その技術を広め、日本の養蚕業の標準となりました。場内には蚕を飼育していた母屋兼蚕室をはじめ、養蚕道具の展示、繭クラフトの体験コーナーなどがあります。
定休日:年末年始(12月28日~1月4日)
料金:一般500円/高校生以下・藤岡市在住者は無料
住所:群馬県藤岡市高山237
電話:0274-23-7248
駐車場:あり・無料
アクセス:
車 上信越自動車道 吉井ICより駐車場まで約20分、駐車場より徒歩約5分
電車 JR八高線 群馬藤岡駅よりめぐるんバス「二千階段入口行」約35分、「高山社跡」下車
田島弥平旧宅【伊勢崎市境島村】
©http://www.city.isesaki.lg.jp/
伊勢崎市にある田島弥平旧宅(たじまやへいきゅうたく)は、近代養蚕農家建築の原点ともなった建物。
蚕種製造農家であった田島弥平は、蚕の飼育法のひとつ清涼育(せいりょういく)を確立。また、養蚕業にとって脅威であった微粒子病の研究、蚕種の直輸出に携わるなど、養蚕の発展に尽力した人物です。
現在も個人邸宅であるため、主屋や別荘、蚕種を保管した冷蔵庫跡などの外観のみ見学可能。一部は期間限定で公開される場合もあります。近隣の案内所ではビデオ上映や資料展示もおこなわれているので、気になる方は足をのばしてみてください。
定休日:年末年始(12月29日~1月3日)
料金:無料
住所:群馬県伊勢崎市境島村2243
電話:0270-75-6672(伊勢崎市教育部 文化財保護課)
駐車場:あり・無料
アクセス:
車 関越自動車道 本庄児玉ICより駐車場まで約20分、駐車場より徒歩約5分
電車 JR高崎線 本庄駅よりタクシー約20分
荒船風穴【下仁田町南野牧】
©https://www.town.shimonita.lg.jp/
荒船風穴(あらふねふうけつ)は、下仁田町の山腹にある蚕種の貯蔵庫跡。すきまをあけながら石を積み上げ、夏の間でも冷気を送れる仕組みになっています。蚕種を冷やして貯蔵することで孵る時期をずらし、通年的な蚕の飼育と生糸の大量生産が実現しました。
先人たちの知恵と努力が感じられる、自然地形を生かした遺跡。操業時に使われていたルートが見学路として整備されており、風穴内部を間近に見ることができます。
見学時は動きやすい服装と靴が必須。冬季は閉鎖されているのでご注意ください。
定休日:冬季(12月1日~3月31日)
料金:大人500円/高校生以下・下仁田町在住者は無料
住所:群馬県甘楽郡下仁田町大字南野牧字屋敷甲10690
電話:0274-82-5345(下仁田町歴史館)
駐車場:あり・無料
※土日祝日は車両通行止区間があるため、平日・土日祝日で使用できる駐車場が変わります。詳細は公式HPをご確認ください。
アクセス:
車 上信越自動車道 下仁田ICより駐車場まで約35分、駐車場より徒歩約8分
電車 上信電鉄 下仁田駅よりタクシー約35分
※土日祝日は車両通行止区間があるため、平日・土日祝日で使用できるルート、駐車場が変わります。詳細は公式HPをご確認ください。
公式HP:https://www.town.shimonita.lg.jp/fuketsu/m01/01.html
絹産業に関係する遺産
群馬には世界遺産以外にも、国や県が認定した絹産業に関する文化財がたくさん。一度は聞いたことがあるあの言葉や、観光名所となっているあの場所が、実は絹産業に関係しているのです。
ここからは、絹産業がいかに群馬の経済や文化を発展させたのかがよくわかる、意外な遺産をご紹介。
日本遺産|かかあ天下
日本の伝統文化やストーリーを語るうえで欠かせない文化財として、文化庁が認定する日本遺産。こちらに認定されているのが群馬のかかあ天下!
碑石や資料館、養蚕農家の街並みなど、かかあ天下に関する文化財は県内各地に存在します。
群馬では、かつてより女性が養蚕・製糸・織物で家計を支え、近代では製糸工女や織手として活躍するなど、妻が夫よりも経済力が高い共働き家庭が多かったのです。
現代では亭主関白の反対語のように使われるかかあ天下。からっ風と並ぶ上州名物ですが、絹産業が盛んだったからこそ生まれた言葉だったんですね。
ぐんま絹遺産
©https://www.city.annaka.lg.jp
ぐんま絹遺産とは、養蚕や製糸などに関わる建物や民俗芸能を対象に県が認定した遺産。
富岡製糸場はもちろん、生糸や繭の運搬に使用された旧碓氷峠鉄道施設、渋川に残る神楽「養蚕の舞」など数多くの文化財が登録されています。
また、ぐんま絹遺産のひとつ・富岡倉庫に隣接する群馬県立世界遺産センターセカイトでは、繭を利用したアートや絹産業の発展の歴史を展示。
世界中の絹文化を興隆させた群馬の絹遺産について、あますことなく知ることができます。
まとめ
世界遺産・富岡製糸場と絹産業遺産群についてご紹介しました。知っているようで知らなかった情報もあるのではないでしょうか?
国内外のさまざまな文化の発展につながった群馬の絹産業。その背景には、工場設立や技術の導入・改良、養蚕の研究、製糸などに携わった多くの人々のたゆまぬ努力がありました。
一度は見ておきたい日本の宝です。
(画像提供 富岡市・富岡製糸場)
※情報は記事作成当時のものです