菅原道真公のご利益で名高い「桐生天満宮」彫刻装飾の美しさは必見!
菅原道真は、別名天神様とも呼ばれる学問の神様。
天神様を祀った「天満宮」は全国に約12,000社もあるといわれていますが、なかでも桐生市にある「桐生天満宮」は関東5大天神に数えられ、初詣や受験シーズンには受験生やその家族で賑わいます。
また、江戸中期に建てられた社殿の建築はその歴史的・美術的価値の高さから、1990年に群馬県指定重要文化財として定められました。
天神様のご利益にとどまらない、「桐生天満宮」の見どころをご紹介します!
「菅原道真」って、どんな人?
菅原道真が学問の神様ということは知っているけれど、どんなことをした人なのかよく知らないという方は多いでしょう。
道真は平安時代の貴族で、代々学者の家の生まれ。
5歳のときすでに和歌を詠み神童と称されるなど、幼いころから学問に突出した人でした。
壮年期には右大臣にまで登りつめ、政治の中枢で活躍しますが、政略により冤罪を着せられ失脚。大宰府(今の福岡県)に左遷されました。
後日都で起こる異変を、失意のうちに没した道真の怨霊が祟っているのだと解した人々は、北野天満宮を建ててその御霊を鎮めました。
桐生天満宮は北野天満宮の祭神の霊を分けられたことから、菅原道真を祭神の1柱としています。
(1)神童と呼ばれるほど学問に秀でていたことから「学業受験合格」
(2)天満宮の建立によって道真の荒ぶる御霊が鎮められたことから「厄除け・災難除け」
(3)京都から遠く離れた大宰府への道のりを無事に旅したことから「交通安全・旅行安全」
この三つのご利益を授けてくださる神様なのです。
桐生天満宮には菅原道真の絵馬がいつもびっしりと掛けられていることからも、人々からの厚い信頼が伺えます。
こちらの記事で、合格祈願にご利益がある群馬県内の神社を一挙にご紹介しています。桐生天満宮も登場するので、ぜひご覧くださいね。
精巧な彫刻が華やかな県指定重要文化財「本殿・幣殿」
お参りを済ませたら、ぐるりと回って社殿の裏側を見学しましょう。
そこで待っているのは精密で華麗な彫刻の数々。
寛政元年(1789年)に完成したと伝わる社殿の彫刻装飾は、日光東照宮の修復や榛名神社の彫刻を手掛けた名工・関口文治郎によるもの。
風雨にさらされ色彩がはがれてしまっていますが、当時は極彩色の華やかな彫刻でした。
色がなくても、微細な部分まで彫り込まれた彫刻は見る者を飽きさせず、時を忘れて見入ってしまいます。
これに美しい色が施されていたと考えると……。当時の人々の感嘆が聞こえてくるようです。
また、「岩の上の天神」と称され、大岩の上に建てられていることでも有名。
古来からの大樹や大岩はそれだけで信仰の対象でしたが、そこにさらに社殿を配することで、人々の信仰を一身に集めたのでした。
江戸中期の色彩が今も残る「拝殿」
拝殿では、建設当時の色彩を残す彫刻を見ることができます。
社殿外側の彫刻と違い室内なので外気にさらされず、保存状態が良いために鮮やかな色が残っているのです。
正面に施されたこの龍の彫刻は「貴龍」といい、「桐生」の語源になったとも伝えられています。
その躍動感は今にも動き出しそうなほど!
拝殿で見ることができるのは彫刻だけではありません。
近世の流通経済を知る貴重な史料として多くの文献に取り上げられる、絹織物の市を描いた「紗綾市之図」。約180cm×270cmもある大きな絵馬で、明治27年の御開帳の際に奉納されたものです。
天満宮境内では江戸時代初期から織物市が盛んで、商品や人の交流地点として栄えました。
江戸時代中期には京都から高度な織の技術が伝わり、高級織物市場「紗綾市(さやいち)」が開かれるように。
現在も毎月第1土曜日に古民具骨董市が境内で開かれており、当時の賑わいをしのぶことができます。
関東3大骨董市にも数えられるこの市、アンティーク好きには特におすすめですよ。
ちなみに……あまり知られていませんが、「紗綾市之図」の作者・大出東皐(おおいでとうこう)は、桐生天満宮の16代目宮司・前原互瀬(まえはらこうらい)のお弟子さん。
拝殿では、師匠である前原互瀬の描いた流鏑馬の大絵馬も併せて拝見することができます。
見落とされがちですが、こちらも歴史的・美術的価値の高いもの。必見です!
桐生天満宮も人気の初詣スポットとして登場しますよ!
「桐生天満宮」情報
住所:群馬県桐生市天神町1-2-1
電話番号:0277-22-3628
駐車場:あり(無料・50台)
アクセス:
電車 JR桐生駅よりタクシーで約10分・徒歩約25分
車 北関東自動車道 太田桐生ICより約25分
公式HP:https://www.kiryutenjin.jp/
※古民具骨董市を毎月第1土曜日
7:00~15:00開催
(月により日時の変更あり)
まとめ
「桐生」の語源の一説とされる彫刻があったり、桐生織物経済の中心を担う場所であったり……桐生天満宮を見ずして桐生の歴史は語れません。
来年の初詣は、お参りに加えて桐生天満宮の美しい彫刻装飾もぜひ観賞してくださいね!
※情報は取材当時のものです