高崎に神秘の洞窟が!『洞窟観音』の不思議に迫る
「人々が楽しめる霊場を作りたい」と、高崎市田町の呉服商として財を成した故山田徳蔵が私財を投じ、50年間にも及ぶ歳月をかけて完成させた「洞窟観音」。
観音菩薩を日頃から深く信心していた山田氏は、「子孫に残す金があったらそれを投じて世の為に尽すのが真実の人間である」という強い意志のもと、全財産を投げ打って取り組んだ一大事業でした。
大正7年に着工し、重機も動力もないなか、つるはしとスコップなどを使ったすべて人力での作業。洞窟内の長さは約400m。
33体の観音を中心に、さまざまな石仏、石像、石塔が安置されています。
地元に住んでいながらも、知らない人が多いという洞窟観音。
今回は高崎市観音山にある、神秘的で荘厳な名スポット『洞窟観音』をご紹介します。
そこは厳かな雰囲気の異世界!
行く先が想像できない、異世界への入り口。
ここからどんな空間へとつながるのか、不安とワクワクでいっぱいに。
手を合わせて一礼、それでは行ってきます。
入ってすぐに目を見開いてしまいました!
どこまでも続く坑道です。先は果てしなく、でも神秘的。
「これから一体何が起こるの?」「ここには何があるの?」と、想像をふくらませながら進んでいきます。
ひんやりと冷たい洞窟内の温度は、通年17℃。
まるで冷蔵庫の中に入ったかのような空間です。
夏場は避暑も兼ねて訪れてみるのもオススメですよ。
石彫の名工・高橋楽山による観音像
新潟県から、名工・高橋楽山を招いて彫らせた観音像。
幾多の観音像が坑道の空間に安置されています。
「揚柳観音」。観音像の表情がそれぞれ違うのも見どころです。
「滝見観音」。観音像は楽山が生涯をかけて彫刻したもの。
選び抜かれた上質な御影石を使用しています。
高崎市のシンボルの白衣観音とはまた違った巧妙なつくりで歴史を感じることができます。
⇒ 【高崎白衣大観音】観音さまから愛を叫ぶ!赤い糸祈願祭とは
しばらく道を歩いていると、急に霊場の雰囲気が変わります。
その景観は、まさに異世界。
奥には滝が流れ渓流の造りとなっています。
静寂と荘厳が交わる、独特の雰囲気に圧倒されてしまいました。
まさにここは極楽浄土への入り口かもしれない……!
洞窟内の石は、浅間山の溶岩を信越線で毎日運んでいました。
運ばれた溶岩は手作業で丁寧に積み上げていったそうです。
出口はふたたび坑道に。「どこに出るのだろう……」と不安がよぎります。
距離にして約400mですが、実際はもっと長い距離に感じました。
この出口までを掘り進め完成するまで、約半世紀。
洞窟観音にかけた想いや当時の労働風景が目に浮かびます。
まとめ
自然に出来上がった鍾乳洞などの洞窟とは違い、全て人力によって造られた洞窟。
信仰心の強い故山田徳蔵は30歳を過ぎた頃、人々に楽しんでもらえる霊場、楽天地を建設したいと発案。
ひたすら掘り続けたその強い想いは、一体どこから湧きあがるものだったのでしょうか?
また、洞窟観音拝観には、徳明園・山徳記念館への入園・入館もセットになっています。
特に徳明園は北関東一の名園として知られている回遊式日本庭園です。
季節に応じたイベントも開催していますので、ぜひ行ってみてくださいね。
取材協力
洞窟観音山徳公園
住所:
群馬県高崎市石原町2857
TEL:
027-323-3766
FAX:
027-322-5025
開園時間:
10:00~16:00 夏季(4~11月)の土日祝日は17時まで
休園日:
毎年12月第3週平日全て
入館料
(洞窟観音・山徳記念館・徳明円共通)
12/1-3/31 大人600円(小中学生300円)
4/1-11/30 大人800円(小中学生400円)