上毛かるたゆかりの地をめぐる旅|「え」縁起だるまの少林山で古き良き文化に触れる
上毛かるたは群馬の有名な郷土かるたです。全札を記憶している人は少ないにしても、群馬県人なら子供も頃から慣れ親しんできた人は多いでしょう。
We love 群馬では、そんな県民には定番のご当地かるた、上毛かるたに詠まれている何箇所かのスポットとその周辺の魅力を、少しずつお伝えしていきます。
歩き方の指針となるのは、群馬県作成のガイドマップ「上毛かるた ゆかりの地 文化めぐり」。冊子を片手に上毛かるたの旅に出かけます。
そして今回の記事で紹介するのは「え」の札に詠まれている、縁起だるまの少林山とその周辺情報です。早速見ていきましょう。
「上毛かるた」ゆかりの地 文化めぐりってどんな冊子?
郷土愛を育んだり家族の絆を深めてもらうことを目的に、群馬県の文化振興課が刊行したガイドマップが、「上毛かるた」ゆかりの地 文化めぐりです。
かるたに詠まれている44の地にまつわる歴史や知識、周辺の観光情報などを豊富な絵や地図、写真とともに解説しています。
冊子の規格はA5オールカラーで128ページにも及び、子供からお年寄りまで誰でも読めるよう、分かりやすさに重きを置いたデザインとなっています。
販売価格は、本体399円(税別)とお手頃で、全国の書店や県有施設で購入可能です。
上毛かるた「え」の札 縁起だるまの少林山
上毛かるた「え」の読み札と取り札を紹介しましょう。
高崎だるまの聖地であり、正月に開催される少林山だるま市は各地からの参詣人でにぎわう名物祭りとなっています。
当日はだるまを売る店で埋められ、縁起を祝う人々がこれを買い、片眼を入れて今年の福運を祈ります。養蚕地や機業地での一風習として今も伝えられています。
※King of JMKのHPより引用
どんな苦しもみ乗り越え、転んでも達磨のように起き上がり、先に進む勇気を持ってほしいと願う札です。
ちなみに、だるまの上に北斗七星のように見える星列がありますが、「え」の札の星数は6しかありません。なぜでしょうか?
少林山達磨寺の本堂にお祀りされている北辰鎮宅霊符尊(ほくしんちんたくれいふそん)は、北極星と北斗七星を由来に持つ星の神様です。
絵札では北辰鎮宅霊符尊がだるまの上に煌々と輝いており、その下に「7つ目の星」である達磨が表現されています。北斗七星の星数が6しかないのには、こんな理由があったのですね。
縁起だるまの少林山について
碓氷川のほとりに位置する少林山は1700年頃の創建。達磨出現の霊地という言い伝えが残ることから、達磨寺という名称でも親しまれています。
大きく迫力のある総門は1997年、少林山の開山300年を記念して建立されました。総門をくぐり、急な階段を上ってたどり着く招福の鐘を経て、境内へと入っていきます。
お札や御朱印などの授与が賜れる瑞雲閣を通り、さらに階段を上っていくと、霊符堂(本堂)や少林山最古の建物である観音堂が見えてきます。
霊符堂には祈願を終えただるまが所狭しと納められ、供養されるのを待っています。他のお寺では見られない光景ですね。筆者も心を穏やかにして参拝してきました。
「少林山達磨寺」については、下記記事で詳しく取り上げています。
縁起だるまの少林山 施設情報
(寺務所お札場は9:00~17:00)
定休日:無休
住所:群馬県高崎市鼻高町296
電話:027-322-8800
駐車場:あり(無料、200台)
アクセス:
車 関越自動車道前橋ICより約20分・上信越自動車道高崎ICより約30分
電車 JR高崎駅よりバス約20分・信越線群馬八幡駅よりタクシー約5分
上毛かるた「む」の札に詠まれているのが「上野三碑」です。こちらの記事を参考にどうぞ。
少林山を訪ねたらぜひ足を運んでほしい場所
ガイドマップ「上毛かるた」ゆかりの地 文化めぐりには、少林山の近隣施設や観光地も掲載されています。
その中から筆者おすすめの2つのスポットを紹介します。
洗心亭
達磨寺の敷地内、本堂から少し離れた場所には、和の情緒を残した洗心亭がひっそり佇んでいます。
この洗心亭は、ドイツの世界的建築家ブルーノ・タウトが、1934年から2年3か月滞在した建物として知られています。
タウトはこの地で日本文化を研究し、それらを日本国内外に広めたことで大きな功績を残しました。
「日本の文化を愛する」という、タウト自身が彫ったドイツ語の碑は、群馬県指定史跡に登録されています。
少林山古墳群
少林寺の境内と背後の山に点在するのが少林山古墳群です。古墳時代の後期、5〜7世紀に築造されたもので、中でも最も有名なのは、少林山2号古墳(天頭塚)と呼ばれる円墳です。
地すべり対策のため古墳群のうち何基かは一度削平されましたが、この少林山2号古墳は移築復元されて現在の姿となりました。
墳丘は直径約12m、高さ約5mと実際に目の前にするとなかなかの大きさです。
石室はガラス張りになっており、外から内部の構造がよく見えるようになっています。
歴史的には、少林山の開山よりだいぶ前に築かれたこの古墳群ですが、豪族が権力を誇った古墳時代から江戸時代、そして現在に至るまで、この地が長い間人々の拠り所となり崇められてきたのだと、感じずにはいられませんでした。
まとめ
今回は上毛かるた「え」の札、縁起だるまの少林山を訪れてきました。上毛かるたに詠まれているのは、世界遺産やパワースポットなど、どれも群馬を代表する地ばかりです。
ガイドマップ「上毛かるた」ゆかりの地 文化めぐりをお供に、あなたも群馬の歴史や文化に直に触れ合ってみてはいかがですか?
※情報は取材当時のものです