長野原線太子駅!戦中戦後重要な役割を担い廃線となった駅舎と線路が復元
群馬県吾妻郡中之条町。昭和45年に廃止となった鉄鉱石運搬の路線長野原線が2018年4月に復元されたのをご存知でしょうか?
地元の人の手で大切に整備、復元された太子駅跡地をご紹介します。
戦中戦後に大きな役割を果たした長野原線
チャツボミゴケ公園の鉱床跡と穴地獄
群馬県吾妻郡長野原町には日本でも珍しい酸性の水が流れる土地に生息するチャツボミゴケが生息する公園があります。
この公園には鉄鉱石が採掘された鉱床跡があり、1966年(昭和41年)まで露天掘りによる採鉱が行われていました。その露天掘りの窪み(俗称「穴地獄」)に自生しているのがチャツボミゴケです。
鉄鉱石を運ぶために開通した長野原線
当時群馬鉄山とよばれていた現在のチャツボミゴケ公園周辺で1943年(昭和18年)日本鋼管工業が戦時中の金属資源不足解消ため開発を開始。
その鉄をはこぶために1945年に現在のJR吾妻線長野原草津口駅から群馬鉄山近くの太子駅まで日本鋼管工業の専用鉄道が開通され、採掘された鉄鉱石はこの太子駅から旧日本鋼管川崎製鉄所へ運ばれていったのです。
戦後は旅客車としても活躍
貨物線として運行していた長野原線ですが、戦後の1961年(昭和36年)には旅客車も運行を開始。吾妻線が電化されても非電化のまま、ディーゼルで太子駅から長野原駅まで1日5往復運行を続けていました。
しかし1965年、群馬鉄山の鉄がなくなってしまい、採掘は終わりをつげ、それとともに翌年長野原線は廃線となってしまったのです。
太子駅跡復活に向けて
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石炭や鉱石を一時的に蓄えておく施設「ホッパー」は倉庫と積出の設備を兼ねているので線路上に造られます。太子駅もこのホッパーの一つです。
太子駅復興を中心にチャツボミゴケ公園や上州湯ノ湖、吾妻橋そして赤岩地区の山村養蚕集落を守り、観光客の増加さらに地域づくりを目指すことを目的とし、中之条町が2013年から太子駅の復元をはじめました。
また2016年に中之条町がクランドファンディングで寄付を募り2018年4月、当時の駅舎と廃線やホーム、線路が復元され公開されました。
歴史を感じる太子駅跡がこちら!
当時使われていた展示物が並ぶ駅舎内
群馬県北西部にある吾妻郡中之条町の旧太子駅跡に足を運んでみました。中之条から車で30分ほどです。
駅舎は復元され中には当時の写真が展示され、長野原線で使われていた改札ばさみや車掌の帽子、プレートなどが多数展示されています。
まるで駅の改札を思わせる受付で入場料を支払います。ガラスケースには周辺の特産物「こんこん草履」も展示されています。
山と川に囲まれたホッパー跡
改札を抜けて外に出るとまず目に飛び込んでくるのがこのホッパーの土台。当時のまま歴史を感じさせる構造物です。
中に入ると不思議な空間が広がります。栄えていた頃とは相対して自然の音だけが響き渡る静寂そして少し寂しさが伝わってきます。
ホッパーの中にも線路がありますが、草が茂り当時の繁栄がまるで嘘のようです。
ホームには鉄道車両と駅名標
ホームには大井川鐡道の車両が停車し、これがまた風情溢れます。砂利が積まれたホームには「太子駅」の駅名標がそびえたち当時の繁栄を彷彿させます。
どこまでも続いていきそうなレール、そして復元された枕木。枕木はクラウドファンディングで再現されました。
施設情報
電話:0279-95-3111(中之条町六合支所)
入場料:大人200円 中之条町民および中学生以下無料
営業時間:10:00~16:00
定休日:火曜・水曜日
住所:群馬県吾妻郡中之条町大字太子254
長野原線太子駅!戦中戦後重要な役割を担い廃線となった駅舎と線路が復元まとめ
戦前戦後に鉄鉱石を運び、人々の足にもなった中之条町の太子駅。いかがでしたか?
この地を愛してやまない人々がその軌跡を後世にも伝え、残していきたいということから再現が始まり、2018年4月一般公開となりました。
当時の展示物がたくさん並ぶ駅舎とホーム、そしてホッパー。どれも歴史を感じるものばかりです。
付近には四万温泉や草津温泉、そして鉱石の発掘場所となったチャツボミゴケ公園など多くの観光地があるので、足を運んで日本の戦中戦後に貢献した長野原線太子駅の跡地で歴史を堪能してみてはいかがでしょうか!山々や川など大自然の絶景も眺望できますよ!!