多胡薬師塚古墳|多胡石の石室がインパクト満点!自然と古代ロマンを体感できるスポット
群馬県高崎市吉井町の多胡地区にお地蔵様と美しい石室を持つ古墳があります。秋には彼岸花も咲き誇る多胡薬師塚古墳をご紹介しましょう。
上野三碑で有名な吉井町にある多胡薬師塚古墳
高崎市吉井町といえば上野三碑で有名なスポットですが、古墳や史跡も多く残されています。
そのうちの一つ多胡薬師塚古墳。赤いお地蔵様と大きな石室が特徴の多胡薬師古墳は、のどかな田畑が広がる住宅地の中にポツンと佇んでいます。
世界記憶遺産にも登録されている上野三碑で祖先が石碑に託した想いに触れてみてはいかがでしょうか。
発見当初は吉井町一号墳と呼ばれていた
多胡薬師塚古墳は1935年(昭和10年)の一斉調査で鏑川右岸、上部段丘面で発掘され、当初は吉井町一号墳と呼ばれていました。これは上毛古墳綜覽に記されています。
墳丘については未調査、1952年(昭和27年)群馬大学と尾崎喜佐雄教授が中心となり石室の実測調査が行われました。
古墳の大きさ、形、出土品、誕生の時期は?
古墳の大きさは現在直径25m、高さ3.5m程の円墳です。
出土品はほとんど見られませんでしたが、石室が発見された当初からその入口は開いていたのだとか。
また出土品はほとんど見られなかったことから、古墳が作られたのは古墳時代の終末7世紀前半と考えられています。
高度な技術で作られた石室
精巧な加工と特別な石で作られた石室
こちらが多胡薬師塚古墳の石室。ご覧の通り立派できれいな形の石室をしています。
精巧に石を加工して作られた石室の全長は4.95m、玄室は2.1m、羨道は2.8mほど。奥に進むと美しい石室が姿を見せてくれます。
石室に使われた多胡石とは?
石室には上野三碑の多胡碑と同じ材質の多胡石(牛伏砂岩)が使用されています。
多胡石とは牛伏砂層から発掘された石で甘楽町から吉井町そして藤岡市まで広がる地層で砂岩と凝灰岩質、泥岩層が交互に重なったもの。
装飾性の高い建築用石材として使用されています。
加工方法
この多胡石を精巧な切石にし、切積み手法を取り入れて加工し石室を作り出しています。切積み加工法は古墳時代の終盤、7世紀後半ごろに使用されていたといわれています。
多胡薬師塚古墳を散策してみる
のどかな田園風景と住宅が見られる周辺。駐車場からは50m程の場所にあります。
古墳は小規模ですがすぐに見つけることができます。こんもりした緑の小山、こちらが多胡薬師塚古墳。
すぐそばには椿が咲いていました。
真っ赤なお地蔵様と小さめなお地蔵様が隣に鎮座し石室へと導いてくれるかの様です。
近づくと石碑や祠があり神秘的な光景が。
石室は内部まで見学でき、白っぽい多胡石が使われているのがわかります。
古墳敷地内にはベンチもあるので、散歩がてらのんびり古墳探求を楽しめます。
秋には彼岸花が咲き誇る
実はここ多胡薬師塚古墳は彼岸花の群生地。見ごろは例年9月20日から10月上旬とのこと。
古墳の周辺一面を赤い彼岸花が埋め尽くす姿は圧巻、古墳と真っ赤な花のコラボが楽しめる彼岸花スポットです。
多胡薬師塚古墳スポット情報
定休日:無休
住所:群馬県高崎市吉井町吉井川
電話:027-321-1291(高崎市役所文化財保護課)
駐車場:あり(約5台無料)
※近隣の多胡公民館駐車場も利用できます
アクセス:
車 上信越自動車道吉井ICより約5分
電車 上信電鉄吉井駅より徒歩約25分
群馬県高崎市群馬の森からほど近い場所には不動山古墳があります。
まとめ
のどかな田畑そして住宅地の中にある多胡薬師塚古墳いかがでしたか?
古墳時代終盤に作られた円墳で、地元で採取された多胡石を使った美しい石室を持つ古墳です。
赤いお地蔵様や祠、石碑などもみられ古代ロマンを感じられるスポットの一つ。
春には椿、秋には彼岸花も見られるので、古代歴史と自然を楽しみに足を運んでみて下さいね!
※情報は取材当時のものです