異国調菜芭蕉|お店自体が芸術作品・棟方志功の壁画とカレーが話題【桐生市本町】
1937年(昭和12年)創業、文化人に愛されたといわれるカフェ「芭蕉(ばしょう)」。
織物産業で栄えた街であり、明治や大正時代によくあった工場の屋根「ノコギリ屋根」も見られる群馬県桐生市にあるお店で、カフェというより、もはや資料館のような古民家です。
そのレトロな雰囲気と、おいしいメニューにファンが集う口コミでも人気のお店、民芸品が並ぶ店内とおいしいメニューがたくさんの「芭蕉」をご紹介しましょう!
文化人たちに愛されたカフェ「異国調菜・芭蕉」
JR桐生駅から徒歩10分ほど。
創業1937年(昭和12年)、レトロという一言では収まり切れない歴史を感じる建物があります。
群馬を誇る文化人が通い、愛してやまなかったといわれるお店「異国調菜 芭蕉」。
作家・坂口安吾や、シャンソン歌手の石井好子をはじめ、群馬ゆかりの20世紀文化人が足しげく通ったといわれています。
よくある古民家をリノベーションしたレトロなカフェではなく、リアルな昭和感そのままの超古民家カフェ。
店内のそこかしこにあふれそうなほどの歴史が感じられます。
棟方志功の壁画よみがえる!
桐生の芭蕉といえば有名なのが棟方志功によって描かれた壁画。
芭蕉の初代店主「小池魚心」さんが熱烈な棟方志功のファンだったこともあり、お願いして壁画を描いてもらったとのこと。
1953年、念願かなってお店に壁画を展示することになったのです。
棟方志功とは?
ここでは簡単に棟方志功をご紹介しましょう。
青森県出身。1903年(明治36年)、刀鍛冶職人の三男として生まれた20世紀の美術を代表する巨匠のひとりです。
少年時代ゴッホに出会い感銘を受け、将来はゴッホのような芸術家になりたいという夢を持つようになったということ。囲炉裏の煤によって極度の近視となりますが、苦労ののち数々の賞を受賞する有名な画家となります。
代表作としては、1955年(昭和30年)にブラジル・サンパウロビエンナーレ国際美術展版画部門最高賞受賞、翌年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展ではグランプリも受賞した「二菩薩釈迦十大弟子」などがあります。
先代によって塗りつぶされた壁画が復活
そんな有名な芸術家である棟方志功さんが、1953年(昭和28年)、知人である小池魚心さんの依頼により芭蕉の壁画に絵を描きました。
ところが、「お店の雰囲気に合わない」ということから、なんと魚心さんは漆喰塗りつぶしてしまったというのです。
しかし、2008年(平成20年)に55年のときを超え、2代目店主によって漆喰がはがされました。
その下には棟方志功作の壁画が健在。
色は褪せてしまっていますが、とても貴重な壁画で価値のあるものです。
昭和にタイムスリップしたかのような店内
芭蕉の店内は、家の中に家があるような独特な空間。
迷路のようで楽しくなってきます。
昭和レトロというよりも、資料館のようにも思える店内には、馬の置物や民芸品、絵画など様々な芸術作品が並びます。
席は1階と2階にあり、2階に上がる階段もギシギシと歴史を感じる音を鳴らします。個の時間を楽しめるように間仕切りされています。
また予約席などの特別な部屋もあります。時代の流れを感じながらのんびりとカフェでのひとときが楽しめますよ!
お店の一風変わったルール
芭蕉では呼び鈴の代わりに銅鑼(ドラ)を鳴らすシステムになっています。
店内入り口にはこんなにも大きな銅鑼があり、店員さんが見当たらない場合、この銅鑼で呼ぶことができます。
また席には呼び鈴代わりの鐘が設置されており、オーダーのときに使います。
どれもおいしい!芭蕉自慢のメニュー
レトロな店内テーブルの上に置かれているメニューには、様々な食事やスイーツが載っています。
まずテーブルに置かれていたのは、おすすめスイーツ。
プチケーキが3種類盛り合わせで480円、コーヒーまたは紅茶のセットで680円とお手頃価格です。
グランドメニューには、「印度カリー」などのコースをはじめとした定食はもちろん、お土産メニューも。
一品料理やドリンクメニューも充実しています。
また平日限定のランチメニューもあります。
芭蕉人気4種類のメニューにサラダ、温かい飲み物がついて、お値段1,000円前後とリーズナブル!
ということでお得な平日ランチを堪能してみました。
口コミで人気のカレーをセットでいただいてみました
今回いただいたのは、ランチメニューの「馬小屋カリーセット」。
数種類のスパイスをブレンドした、さっぱりスパイシーでやや辛めのカリーがついてきます。
まず登場したのがサラダ。新鮮な野菜がこだわりのドレッシングでいただけます。ちょうどいい大きさのサラダですよ。
そして程よい頃合いにカレーが登場。ごはんには福神漬けが載っています。
カレーを一口いただくと切れのよいあっさりした味、その中に数種類のスパイス風味が広がります。
お米はつややかで、きゅんとした味わいが口の中に広がります。そしてごはんと一緒にいただくと、絶品の味わいが広がります。
ご飯に合うカレー!さすがどのお料理もおいしいと口コミで話題の芭蕉だけあって、期待は裏切られませんでした。
食べ終わった後のごはんのお皿には芭の文字が!細部にまでこだわりを感じます。
そして食後、ちょうど食べ終わった頃に持ってきてくれるコーヒー。お店だけでなくサービスや気遣いにも、昭和のおもてなしが感じられる素晴らしいお店でした。
平日ランチメニューは11時から14時まで利用できます。
「異国調菜 芭蕉」店舗情報・基本情報
営業時間:11:00~20:00
定休日:火曜日・第2または第3水曜日
住所:群馬県桐生市本町5-345
電話:0277-22-3237
アクセス:
車 関越自動車道太田藪塚ICより約30分
電車 両毛線桐生駅より徒歩約10分
まとめ
20世紀の文化人たちに好まれ、巨匠・棟方志功の壁画も見られる「異国調菜 芭蕉」いかがでしたか?
店内には歴史を感じる民芸品が置かれ、まるで昭和にタイムスリップしたかのような独特の雰囲気。
創業当初から変わらない味のカレーや、少し辛めのスパイスがきいたカレー、さらには定食や一品料理、スイーツなど様々なメニューが楽しめます。
歴史を感じる魅力ある店内で、ぜひおいしいお料理をただいてみて下さいね!
※情報は取材当時のものです