大日向の火とぼし|戦国時代から伝わる群馬最大級の火祭り【群馬県南牧村】
南牧川沿いの渓谷にある群馬県南牧村。長野県佐久市と隣り合う山村です。炭などが名物で森林資源が豊富なこの南牧村で、群馬県内最大級の火祭りが行われるのをご存知でしょうか?
毎年恒例の、南牧村大日向の火とぼしをご紹介します。
お盆の伝統行事・大日向の火とぼし
群馬県甘楽郡南牧村の大日向地区には滝ノ沢、大日向、笹平、門札の5つの集落があります。火とぼしは、大日向地区で例年お盆の8月14日・15日の2日間行われる伝統的な火祭り。
子どもたちが大日向近くの火とぼし山に上り、藁を束ねた大松明に火をつけて下山。その火を村の男性たちが小さな松明に移して、南牧川に架かる大日向橋の上や川原で長さ2~3メートルの縄にくくり付けたワラ束を燃やし、2~3人ずつでぐるぐると回します。
かつては、南牧村の他の集落でも火とぼしが行われていましたが、過疎化や少子高齢化により、現在は大日向地区のみで行われる伝承行事です。
火とぼしの起源
小幡藩主に苦しめられていた地域住民が、1561年に武田軍が上州に攻めてきた時に松明に火を付けて武田軍を装い、小幡軍を撃退したことから始まったといわれています。
小幡藩主の圧政から開放された住民が喜びを表し、この行事が毎年行われることになったのだそう。
実は、この火とぼしは平成4年(1992年)に県の重要無形民俗文化財に、平成18年(2006年)には国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定されているんです。
火とぼしの事前準備
毎年お盆に行われる火とぼしの準備はなんと7月から始まり、下旬には地域で火とぼしに参加する子どもたちを募集したり、麦藁を集めたりします。
以前は農家ごとに用意していた麦藁ですが、近年は農家も減ってしまったため近くの富岡市などから買っているのだそう。かつては村の若者が火とぼしの準備を担っていましたが、現在は地域の代表区長や班長が中心となって行っているようです。
8月7日には各集落が準備にあたります。
南牧川右岸の集落は、子どもたちが登る火とぼし山の草刈りや松明が通る道の整備を担当し、左岸の集落は、15日の夜に使われる行灯を作ります。季節の野菜や虫の絵、魂祭りや火祭りなどの文字も描き入れます。
群馬県内最大級の火とぼし
©https://gunma-dc.net/
参加する子どもたちの数だけ松明が用意され、日が暮れると子どもたちは大人に付き添われ、山に登っていきます。大松明に火をつけ、その後小さな松明に火を移し振り回して、大松明を引きずりながら下山。
一方、火とぼし橋に用意された松明に大松明から火を分けてもらい、男性たちは川の水際や橋から身を乗り出して大きく振ると、松明は炎の弧を描いて勇ましく回転します。
川と火とぼし橋周辺は大きな美しい火の円で真っ赤に染まり、その風景は幻想的で、見る人の目をくぎ付けに。
また8月15日には火祭りとともに、オネリという行事が行われ、19時頃から行灯を持った子どもたちの後に大人が太鼓や笛を吹きながら安養寺までねり歩きます。
安養寺にたどり着くと寺の境内を3回まわりお念仏を唱えてご先祖を供養し行事は終了。
こちらが火とぼし橋。
橋の入口に安静寺の石碑が立っているので、とても分かりやすいです。
石碑から下っていくとすぐに火とぼし橋へたどりつきます。この橋と橋から見える南牧川の河原で、県内最大の火祭りが行われます。
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大日向の火とぼし詳細情報
2024年の大日向の火とぼしも、人数制限を設けず開催される予定です。近隣には仮設トイレと駐車場を設置予定。例年は数店舗出店もありますよ。
時間:18:00頃より開催
住所:群馬県甘楽郡南牧村大日向274(大日向橋)
問合せ先:南牧村役場
電話:0274-87-2011
駐車場:あり(旧南牧中学校校庭に臨時駐車場を設置予定)
※旧南牧中学校から大日向橋付近まではシャトルバス運行予定
アクセス:
車 上信越自動車道 下仁田ICより約25分
電車 上信電鉄 下仁田駅よりバス約20分「門札」下車すぐ
公式HP:http://www.nanmoku.ne.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=422
南牧村周辺情報:https://www.jalan.net/travel/cit_103830000/
南牧村で宿を探す:楽天トラベル
大日向の火とぼしまとめ
©https://gunma-dc.net/
歴史を感じる南牧村の大日向の火とぼしはいかがでしたか?
群馬県内でも最も大きな火祭りとして例年は県内外からの観光客も足を運びます。どんどんと大きくなっていく火の輪は迫力満点。この日本の伝統文化である火とぼしを次の世代にもぜひ残していきたいですね。
※情報は記事作成当時のものです