前橋市「臨江閣(りんこうかく)」大河ドラマロケや竜王戦にも使用される国指定文化財
前橋市、榛名山・浅間山・妙義山の山並みを臨める楽歩堂前橋公園敷地内にある国指定の重要文化財「臨江閣」。
大河ドラマ花燃ゆのロケ地としても有名な、3棟から成る美しい歴史的建築物です。
今回は、美しい近代和風の木造建築と四季折々の日本庭園を楽しめる前橋市「臨江閣」をご紹介しましょう。
前橋市利根川沿いにある歴史的建造物「臨江閣」とは
利根川沿いにある楽歩堂前橋公園。
周辺には群馬県庁舎とヤマダグリーンドーム前橋もあるその公園の広い敷地内に、歴史的建造物「臨江閣」があります。
近代和風の木造建築で、本館と茶室は明治17年、当時の群馬県令(知事)楫取素彦や地元有志の協力によって建築されました。
明治43年に貴賓館として建築された別館は、書院風建築となっています。
平成30年、本館・別館・茶室の3棟が国の重要文化財に指定されました。
無料で見学できることもあり、観光スポットとしても人気です。
3棟から成る重要文化財・臨江閣
臨江閣は、本館・別館・茶室の3棟から成ります。
順にご紹介しましょう。
本館
明治17年に建築された本館は迎賓館として建てられました。
木造二階建ての数寄屋風建築で、明治時代には、当時の天皇や、のちに大正天皇となる皇太子などの皇族も滞在されたということ。
さらに昭和20年からは戦災による市の仮庁舎として、昭和30年から昭和56年まで市の公民館として結婚式などにも利用されました。
その後は平成19年まで公民館別館として利用されていました。
別館
明治43年、一府十四県連合共進会の貴賓館として建築された威厳ある建物です。
書院風建築の建物1階には60畳の西洋間が1室、日本間が7室あります。
また2階にある150畳、舞台を含めると180畳もある大広間では、詩人の萩原朔太郎の結婚式も行われたということです。
共進会閉会後は、前橋市所有の大公会堂として利用されていました。
茶室
本館建築の際の地元有志への協力に感銘を受けた県令・楫取素彦をはじめ、県庁職員の募金によって建てられたという茶室。
瓦葺の木造平屋建てで、茶席部分は4畳半の京間・本勝手・下座に床の間を持つ形式となっています。
京都の宮大工、今井源兵衛によって建築された「わび」に徹した草庵茶室です。
平成20年に第25回ぐんま都市緑化ぐんまフェアの際に、楫取素彦にちなんで「畊堂庵(こうどうあん)」と名づけられました。
前橋市政や要人にまつわる展示も
製糸工場の天原社を設立するなど、前橋の発展に大きく貢献した江原芳平の胸像や前橋が戦災から復興した軌跡、昔の県庁など館内には前橋に関する様々な歴史が展示されています。
また改修前の臨江閣別館大屋根についていた実物の鯱瓦も展示されています。
この鯱瓦を復元したものが現在の別館大屋根に飾られています。
大河ドラマロケ地や竜王戦会場としても利用される臨江閣
ひそかにロケ地が多い群馬県。臨江閣も多くのドラマや映画などに利用されています。
とくに、臨江閣の提言者である楫取素彦が主人公の夫として登場する、2014年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』のロケ地としては有名です。
また、2014年放映のTBSスペシャルドラマ『LEADERS』や、2016年のTBS新春スペシャルドラマ『百年の計、我にあり』などのドラマ撮影も行われました。
平成29年には大幅な改修工事が終了し、将棋界の最高位タイトル戦「竜王戦」も本館一の間にて開催されました。
そのほかイベントなど多彩な用途で利用
そのほか茶会、生け花展などの展覧会や各種フォーラム、寄席など多彩なイベントが開催されています。
ひな祭り期間中には、前橋市民から寄付されたという古くからのひな人形が数多く展示されます。
ライトアップでも有名
© https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/seisaku/mirainomesozo/gyomu/4/1/2994.html
© https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/seisaku/mirainomesozo/gyomu/4/1/2994.html
2017年(平成29年)にリニューアルされ国の文化財に指定されてから、臨江閣ではライトアップを実施しています。
当初は、2018年(平成30年)2月末までの予定でしたが、好評だったため期間を延長、2020年(令和2年)10月末までライトアップされる予定です。
点灯時間は季節によって異なります。
3月~4月 17:30~23:00
5月~9月 18:30~23:00
10月~12月 17:30~23:00
「光が映し出す100年前の流行色」をコンセプトに、暖色系の若竹色×薄曙色、寒色系の新橋色×茄子紺と、臨江閣完成当時に流行していた色を使用して「製糸産業のまち・前橋」を表現しているとのことです。
臨江閣施設情報
国指定重要文化財(本館・別館・茶室)
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は直近の平日)、12月29日~1月3日
料金:無料
イベント期間中は入場制限があることも。
住所:群馬県前橋市大手町3-15
電話:027-231-5792
駐車場: なし(隣接の前橋公園駐車場をご利用ください)
アクセス:JR前橋駅からバス10分
公式HP:https://www.city.maebashi.gunma.jp/bunka_sports_kanko/7/5/11390.html
観光ボランティアの無料ガイド(所要時間40分)が受けられます。
利用は1カ月前までの申し込みが必要になります。
カフェ・売店「かふぇあんきな」情報
大河ドラマ『花燃ゆ』の放送期間のみ開店していたカフェと物産館が好評だったため、「かふぇあんきな」が臨江閣改装とともに再開しました。
カフェでは、日本建築をのんびり楽しみながら萩焼茶碗でいただける維新コーヒーが人気。
さらに、楫取素彦の盟友であった、吉田松陰が好んだという豆大福も味わえます。
©http://maebashi-bussan.jp/shops/ankina/
売店では臨江閣でしか買えないお土産や群馬県内のお土産が入手できます。
営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜日(祝日の場合は直近の平日)、12月29日~1月3日
住所:群馬県前橋市大手町3-14-1
まとめ
利根川に面し、遠方には妙義山や浅間山も臨める場所に建築された「臨江閣」、いかがでしたか?
歴史を感じ圧巻の風格を持った日本建築です。
国の重要文化財にも指定され、前橋市民だけでなく観光客など多くの人でにぎわいます。
映画やドラマの撮影場所としても利用され、将棋のタイトル戦やイベントにも利用されています。
時代は平成から令和へと変化していきますが、臨江閣へ1歩足を踏み入れると、明治、大正そして昭和からの歴史を刻む足音が聞こえてくるかもしれません。
※情報は取材当時のものです