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【FP監修】学資保険にまつわる税金のイロイロ!受取人は誰がいい?

学資保険 受取人

子供が生まれたら教育資金のために学資保険を検討する人は少なくありません。では、同じ内容の保険でも受取人や申請時期によって税金が変わることを知っていますか?受取人を誰に設定するかによって満期時に税金がかかる場合があります。一方で年末調整のときに申請すれば控除が受けられ節税できることもあるんです。
本記事では、そんな意外と知られていない学資保険の税金のあれこれを経験豊富なFPが徹底解説します。学資保険の契約を考えておられる方は、税金のこともしっかり把握して損しないようにしましょうね!

【この記事の監修】

ファイナンシャルプランナー 西田 凌

ファイナンシャルプランナー 西田 凌
複数の保険総合代理店にて勤務後、より多くの方に「正しい情報」を届けるために、現在は完全独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍中。
年間100世帯の面談経験を元に、個人のコンサルティングやweb上での相談サービスに加え、お金の専門家として様々な情報サイトで執筆を手掛ける。
保険のみならず、年金や社会保険、資産運用や老後資金など幅広い知識で家計にベストなアドバイスを行うFPとして人気が高い。

FP2級・AFP 資格保有

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学資保険契約時に必ず設定する3者

学資保険 受取人

学資保険の契約は必ず「契約者、被保険者、受取人」の3者で構成されます。この3者を誰にするかによって、課税の対象になることもあります。では、まずこの3者について詳しく見てみましょう。

契約者

契約者とは学資保険の名義人で、保険料を支払う人を指し一般的には親がなります。契約者が死亡する、高度障害を負うなど万一のことがあった場合には払込免除特約が適用され、その後の保険料払込が免除になる上に、契約時に設定した時期に決められた満期金や祝い金を受け取ることができます。
多くの保険会社では「被保険者から見て三親等以内の親族であれば契約者になることができる」と定めているため、祖父母、叔父・叔母がなることも可能ですが、年齢制限や健康条件を設けている場合があるので加入時には確認が必要です。

被保険者(子供)

被保険者は子供がなります。加入時の年齢制限が設けられており、0~6歳までとしていることが多いです(保険会社によって異なる)。アフラックの7歳、ソニー生命の9歳、かんぽ生命の12歳など、6歳を過ぎても加入できる商品もありますが加入年齢が高いほど保険料が上がり貯蓄率が下がります。後述しますが出産140日前から加入できる保険もあり、契約者が若いほど保険料が安くなります。

受取人

祝い金や満期金を受け取る人のことを指します。契約者と受取人の双方とも親に設定しておくことが一般的です。

受取人は契約者と同じに設定するのがベター

学資保険 受取人

教育に必要なお金を受け取るのだから、受取人を子供に設定してもいいのではないか?と思う人がいるかもしれませんね。でもご注意ください。実は受取人の設定を親にするか子にするかで課税対象となる額が変わり、税金に大きな影響を及ぼすことがあります

受取人=契約者なら所得税の対象

契約者は保険料を支払う人で、一番多いのが親がなるパターンです。受取人と契約者の双方を同じ親に設定すれば、受け取ったお金は「一時所得」という扱いになります。その場合、税金が課せられる所得の額を決める計算式はこちらになります。

受取人と契約者が同じ人の場合の所得税算出式 学資保険 受取人

こちらで算出された一時所得の金額を総所得に算入して所得税の計算を行います。
※満期保険金等以外に他の一時所得がある場合、「受け取った金額−支払った保険料」にその一時所得の金額を足し、特別控除額50万円を差し引き、½にした金額を総所得に算入して所得税の計算を行います。

学資保険の返戻率は良くても108~110%前後と言われています。それを考慮し、たとえば270万円の保険料を支払ったら300万の満期金を受け取れるとしましょう。払い込んだ額と保険料の差額は30万。そこからさらに特別控除額の50万を引けばマイナスになることがわかります。

(300万−270万−50万)× ½

つまり、支払った保険料の総額と受け取った額の差が50万を超えない限り、所得税のかかる課税所得はありません。最近の返戻率を考慮すると、ほとんどの学資保険において所得税を支払う必要がないということになります。しかし、返戻率にもよりますが、目安として400万円以上の学資保険に加入するときは利益が50万を超える可能性があります。
また、満期金として一度に受け取らず、学資年金として4回に分けて毎年受け取った場合は「雑所得」扱いとなります
年収2,000万円以下のサラリーマンは雑所得が合計20万円以下の場合は確定申告が不要となり、所得税の課税対象とならないですが、自営業者の場合は必ず確定申告を行うので所得税や住民税がかかってしまうこともあります。受取人だけでなく受け取り方もしっかり考えたほうが安心ですね。

学資保険の税金で損しない方法について詳しくはこちらの記事をチェックしてください。

受取人≠契約者なら贈与税の対象

子供を保険料の受取人に設定した場合、保険料を支払っているのは契約者である親なので、満期金や祝い金は子供が「もらったもの」とみなされ贈与税がかかります。贈与税の計算式はこちらになります。
受取人と契約者が違う人の場合の贈与税算出式 学資保険 受取人

税率と基礎控除額は以下になります。

基礎控除後の
課税価格
税率控除額
200万以下10%
300万以下15%10万
400万以下20%25万
600万以下30%65万
1,000万以下40%125万
1,500万以下45%175万
3,000万以下50%250万

上の例と同じように満期金が300万円で考えてみましょう。計算式は、

(300万−110万)× 0.1 = 19万

となり、19万の贈与税がかかることがわかります。税率も所得税より高く、同じ満期金300万円を受け取るのに、受取人を親に設定していれば所得税を支払う必要がなかったのに対し、子供を受取人とした場合は贈与税として19万円を納めなければならないということになります。受取人を誰にするのが良いか、税金の問題も踏まえ慎重に検討してみてください

離婚したら受取人変更が必要な場合も

学資保険 受取人

3組に1組が離婚するといわれている時代、離婚したとき学資保険はどうしたらよいのでしょうか?選択肢はふたつあります。ひとつは解約せずに支払い続けるパターン、もうひとつは解約し財産分与の対象とするパターンです。
ひとつ目の解約をしないパターンでは受取人や契約者の、名義変更をするかどうかを選択します。親権者と受取人が別であると満期返戻金を受け取ることができなかった、他の用途に使われてしまったなどのトラブルが生じることも少なくないので注意が必要です。

親権者=受取人にするのがベスト

では、離婚後の親権者が母親で、父親が学資保険の契約者や受取人になっている場合を見てみましょう。満期返戻金を受け取るのは父親なので、それが母親と子供の手に渡るかどうかは父親次第となります。教育資金が必要な時期に支払われないケースや父親の生活費に使われてしまったというケースも…。また保険内容の変更をする権利は契約者が持ちます。つまり勝手に解約されても契約者でなければ、なすすべがありません。
確実に満期金を受け取りたい場合は契約者も受取人も母親に変更するのがベストです。しかし経済状況で契約者変更が難しい場合は、せめて受取人だけでも親権者である母親にしておくのが良いでしょう。

離婚時に解約すると財産分与の対象に

一方、離婚時に学資保険を解約する人もいます。離婚のときはマイホームや預貯金などを夫婦の共有財産とみなし分配する必要がありますが、学資保険もその対象となります。
途中で解約した場合は返戻金を分配することになりますが、返戻金は元本割れしてしまうことがほとんど。受取人の変更やその後の保険料の受け渡しなど面倒な手続きがなくなるメリットの一方で、新たに学資保険に加入しようとしたときに子供の年齢制限で無理だった…という場合があるので解約は十分にリサーチをしてからにしましょう。

学資保険を解約しない方法について詳しくはこちらの記事をチェックしてください。

契約者死亡の場合は後継保険契約者が手続きを

学資保険 受取人

学資保険の特徴として、払込免除特約が挙げられます。払込免除特約は契約者である親が死亡したり指定の高度障害を負ったときにその後の支払いが免除になり、予定していた時期に子供が教育資金を受け取ることができるという特約(学資保険によって自動で付帯されるものと付帯を選択する必要があるものがあります)。
しかし、たとえ払込免除特約がある保険であっても保険会社にきちんと手続きをしなければ特約は適用されません。学資保険契約時に指定した「後続保険契約者」がなるべく早く保険会社に連絡をとり手続きを進める必要があります。

後継保険契約者とは

契約者である親が急に亡くなってしまった場合、保険会社に手続きをすれば払込免除特約によって保険料の支払いは免除されます。しかし契約者が死亡しても保険契約は存続していくので、満期金の受け取りやその他保険契約上の一切の権利や義務を継承する人が必要になります。それが「後継保険契約者」と呼ばれる人で、保険を契約する際に契約者が指定することができます。被保険者である子供や、その父母、祖父母が指定されるのが原則で、最も多いのは契約者が配偶者を後継保険契約者に指定するパターンになります。

学資保険も相続税の対象に

契約者が死亡した場合、学資保険は相続税の対象となります。契約者である父が保険料払い込み中に死亡し、母が後継保険契約者になったとします。その後払込免除特約により保険料の支払いはなくなりますが、学資保険は父の財産として相続税の対象となります。「まだ満期金を受け取っていないのに何に対して相続税がかかるのか?」と思いますよね。その時点における解約返戻金の額を「保険の評価額」とし、これに対して相続税がかかることになるのです。つまり父の総財産額に解約返戻金額を足したものに相続税がかかるというわけです。
ちなみに将来、保険金を受け取った場合は、先にご説明したように一時所得か雑所得の対象となります。その際は父が支払っていた保険料も相続したと考え、その分を保険金額から差し引く事ができます。

学資保険は年末調整で控除対象になる

学資保険 受取人

年末調整とはサラリーマンや公務員が所得金額から天引きされた税金を、個人の状況に応じて再計算し所得税の過不足分を精算する仕組みです。学資保険は年末調整の生命保険料控除の対象になります。自営業の場合は確定申告で生命保険料控除の手続きができ、確定申告を行えば住民税の控除申告は不要になります。

控除申告書の書き方

では、具体的にどんな手続きが必要か見ていきます。学資保険の保険料は所得控除の対象となりますので「給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を記入し生命保険料控除を申請します。それには加入している保険会社から10~12月に送られてくる「生命保険料控除証明書」が必要になります。大切な書類なので紛失しないようにきちんと保管しましょう。

控除申告書の書き方について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

まとめ

いかがでしたか?学資保険に関する税金について知らずに損をしてしまってはナンセンスですよね。子供の将来のために備えるのが学資保険です!ほんの少しの知識を持っておくだけで、いざというときに損をしない道を選ぶことができます。保険料の値上げ政策で返戻率が下がってしまっている保険業界ですが、ライフプランに合わせてお得なものを選び、抜かりない学資金対策を行いましょう。

まとめ

  • 保険料にかかる税金は契約者と受取人を同一にして、贈与税より税額が低い所得税を選択。
  • 離婚時は親権者=受取人でトラブル回避。解約の場合は新保険の加入年齢制限も考慮して。
  • 生命保険の性質を備える学資保険。年末調整の控除の対象に!

公式URL:https://fp-moneydoctor.com/